煌びやかに光り輝くダイヤモンドは、数ある宝石の中でも特別で憧れの存在です。
ダイヤモンドの美しさは多くの人の心に響くもので、特別な記念日に大切なパートナーからプレゼントしてもらったならば、きっとそのダイヤモンドが本物だと信じて疑うことはないでしょう。
しかし、ダイヤモンドには「偽物」が多く出回っています。
厳密には、本来ダイヤモンドに「偽物」というものはありませんが、人工的にダイヤモンドに似せて作られたものを「天然ダイヤモンド」と偽って売られているケースが多くあります。
ここでは、「本物」と呼ばれる天然のダイヤモンドと「偽物」と呼ばれる人工ダイヤモンドや模造ダイヤモンドの違いと見分け方について解説していきます。
ダイヤモンドの本物と偽物の違いは成分
本物のダイヤモンドと偽物のダイヤモンドの決定的な違いは、宝石を形成している「成分」にあります。
本来、天然のダイヤモンドは単一の元素である炭素だけで構成されているのに対し、偽物として扱われる模造ダイヤモンドは、二酸化ジルコニウムを成分とする合成石などが多く用いられます。
天然ダイヤモンドと同じ成分で製造された「人工ダイヤモンド」もありますが、こちらはあくまで人の手を介して作られたものです。
自然の中の地殻変動や地質の変化の力により偶然の産物として生成された天然ダイヤモンドとは市場価値も全く異なってきます。
代表的な偽物ダイヤモンドの種類
偽物のダイヤモンドとして用いられる合成石にはどのような種類があるのでしょうか?
ここでは、代表的な偽物ダイヤモンドの種類について解説していきます。
キュービックジルコニア
キュービックジルコニアは「模造ダイヤモンド」の代表格とも言われるほどに、広く利用されています。
キュービックジルコニアは二酸化ジルコニウムにカルシウムやイットリウム等の酸化物を天下して形成された合成石です。
キュービックジルコニアの硬度は非常に高く、見た目はダイヤモンドに近い光の屈折率を持ちつことから、天然のダイヤモンドと比べても見分けが難しいことが特徴です。
安価で作りやすいということもあり、模造ダイヤモンドとして広く世の中に出回っています。
ジルコン
ジルコンは天然石の一種で、ジルコニウムから形成されています。
ダイヤモンドよりも産出量が多いことから、安価に入手することができます。
ジルコンは天然石の中でも光の屈折率が高く、ダイヤモンドに似た光沢と輝きを放つことから、ダイヤモンドの代替品として扱われることが多いです。
モアッサナイト
モアッサナイトは炭化ケイ素から作られた水晶石です。
とても希少価値が高く、ほとんど流通することはないと言われています。
そのため、市場に流通しているモアッサナイトは、人間が作り出した合成石であることがほとんどです。
モアッサナイトはダイヤモンドと非常によく似た性質をもっており、光の屈折率や硬度、熱伝導率はダイヤモンドとほぼ同じと言われています。
偽物ダイヤモンドの見分け方
偽物ダイヤモンドに用いられる合成石の多くは、その特性がダイヤモンドと酷似していることから見た目での判別は非常に難しいとされています。
しかし、屈折率や熱伝導率などの物理的な特性を利用して、ある程度まで本物か否かを見分ける方法があります。
ここでは、自宅でもできる偽物ダイヤモンドの見分け方について解説します。
息を吹きかける
天然のダイヤモンドは熱伝導率がとても高いという特性を持っています。
表面に息を吹きかけて曇らせたとしても、すぐに透明に戻ります。
一方、偽物の場合は熱伝導率が低いことも多いため、息を吹きかけて表面がしばらく曇っている状態が続けば、偽物である可能性は高くなります。
特に、キュービックジルコニアの場合は判別しやすいと言われています。
油性ペンで色をつけてみる
ダイヤモンドは親油性が高い特性を持っています。
油性ペンで色をつけた場合、弾くことなく容易に線を引くことができます。
油性ペンで色をつけても弾くようであれば、偽物の可能性が高くなります。
しかしこの方法は、大切な宝石を汚して傷つけることになりかねないため注意が必要です。
水を垂らす
ダイヤモンドには疎水性があります。
疎水性とは、水に対する親和性が低いことを表し、水を弾きやすいということです。
本物のダイヤモンドの場合は水を垂らしても簡単に弾かれるため、そのような特徴が確認されれば本物である可能性が高まります。
一方、水滴がいつまでも弾かれずにいるようであれば、偽物である可能性が高くなります。
紙に書いた線をダイヤモンドを通して見る
ダイヤモンドは光の屈折率が高いという特性があります。
線や文字を書いた紙の上にダイヤモンドおいてみると、本物であれば光が大きく折れ曲がることから、線や文字が読めなくなります。
この方法でダイヤモンドの下の線や文字が読めるようであれば、屈折率が低い偽物という見分けをすることができます。
しかし、人工ダイヤモンドやキュービックジルコニアのようにダイヤモンドと光の屈折陸が近い模造品の場合は、判断が難しいこともあります。
素人判断せずあたりをつけて鑑定機関や専門店に持ち込むのがおすすめ!
最近では、そのダイヤモンドが本物か偽物かの見分けがより一層難しくなったと言われています。
見た目だけでなく、物理的な特性までも本物と酷似したものが増えていることも事実です。
ダイヤモンドの真贋の見極めは素人にとっては難しいため、確実な鑑定をしたい場合は、GIA、CGLなどの国際的に権威のある鑑定機関や、GIA鑑定士のいる宝石・ジュエリー買取専門店などに査定をお願いすることがおすすめです。